全書籍電子化計画と青空の本の夢 2006東京国際ブックフェアの記録
青空文庫 富田倫生
開催中の東京国際ブックフェアの会場に、青空文庫の富田倫生さんにおいでいただき、一昨年、昨年にひきつづき、今年もお話いただきました。この日、7月7日はちょうど青空文庫10年目の誕生日にあたりました。収録しました映像を謹んでみなさまへお届けいたします。

富田倫生さんのお話は、東京国際ブックフェアで行われたさまざまな講演のなかで一番価値あるものの一つであったと私たちはおもいます。騒々しい会場だということは、お招きしている立場として大変もうしわけなく感じておりますが、お話を聴くたびに、静謐な会堂の椅子に座すようなものではなく、喧噪のなかに傾聴し、手繰りよせる「糸」におもえてなりませんでした。路上にたってこそ人はそこに真実をうかがい知るものです。未来は鳴り物入りでやってくるのではありません。かすかな足音をみずから感じとるもの、あなた自身の心のなかから引きだすものです。
価値あるものを路傍から素手でつかみとり、お届けできることに私たちは意義を感じております。
なお、今回の映像収録にあたっては三郷誠一さん、大塚浩平さんの協力をいただきました。御礼申し上げます。

ボイジャースタッフ一同
 
第一章 本をターゲットにする IT業界の巨人たち 第一章 本をターゲットにする IT業界の巨人たち
「全書籍電子化計画」。急速に進む背景に米国IT業界の巨人たちが勢揃いした。本の解体は決定的な局面をむかえることになった。
第二章 Amazonジャパンの「なか見!検索」 第二章 Amazonジャパンの「なか見!検索」
2005年11月から、Amazonジャパンは書籍の販売促進策という位置づけから「なか見!検索」を開始した。オンライン購読権販売サービス構想を発表。頁単位の購読(Amazon Pages)/書籍購入者の先読み(Amazon Upgrade)が現実のものとなってきた。
第三章 Google 1500万冊の電子化を目指す 第三章 Google 1500万冊の電子化を目指す
2004年12月、「Google Print Library Project」の開始を発表。
ハーバード大学、ミシガン大学、ニューヨーク公立図書館、オックスフォード大学、スタンフォード大学の蔵書、計1500万冊の電子化を目指す。
本文を検索対象に、著作権有効なものに関しては、ヒットした語句が現れる前後数行を表示。出版社、著者の許可がある場合は、前後数頁を表示。著作権切れは、全頁を表示。
「Library Project」に対し、出版社、作家団体から、「著作権侵害である」との声があがり、差し止めを求めて提訴。
第四章 Open Content Allianceの旗揚げ 第四章 Open Content Allianceの旗揚げ
2005年10月、Yahoo! と非営利組織の Internet Archive を中心とした、企業、大学、各種組織からなるプロジェクト、OCA を発表。マイクロソフトが追って、参加。
著作権の切れた書籍の電子化から着手。プロジェクトの成果物はすでに、Internet Archive のページで閲覧可能。

写真は、Internet Archive推進者のBrewster Kahle氏
参考資料:『百万冊の本、出前します
第五章 全書籍電子化計画によって生み出されるファイル 第五章 全書籍電子化計画によって生み出されるファイル
基礎技術としてのスキャニングの効率化(Kirtas Technology のスキャニング・ロボット)
スキャニングによって得られたページイメージ。それを OCR ソフトで処理して、透明テキストを付加したもの。工場化された全書籍電子化計画の原動力。
第六章 人の心の働き 第六章 人の心の働き
青空文庫は終わったのか?
工場化された量産のデータに何が潜んでいたか。準備されたそのうえに人の心の働きが必ず必要になる。私たちが担うべきものは……
第七章 著作権保護期間の延長 なんのために! 第七章 著作権保護期間の延長 なんのために!
インターネットという基盤や記憶装置の大容量化、スキャニング・ロボットなど、書籍をデジタルの世界に組み入れる準備は整ってきている。「長い著作権保護期間を望まない」勢力が、組織的な背景を備えて育って行くだろう。

参考資料:「全書籍電子化計画と著作権保護期間の行方」富田倫生著

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