●エキスパンド・ブック誕生記(92年1月、サンタモニカ)
●ボイジャー・ジャパン発足(92年10月、東京)
●日本語対応の開始(92年11月20日)
●『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』の発売(93年7月)
●作家よ来たれ!(93年10月)
●この世界には、あなたの本を読みたい人が必ずいる(93年11月)
●エキスパンド・ブックのすすめ(93年11月)
●エキスパンド・ブックの展開(93年12月)
●エキスパンドブック横丁開始(94年2月)
●『エキスパンドブック・ツールキット II』の発売(95年5月)




 
    
エキスパンド・ブック誕生記

 私たちがエキスパンド・ブックのプロジェクトを始めたのは1990年夏のことで、当時は、読書に適したブック型のコンピュータがあと5年以内で市場に出回るようになるだろうと確信していました。私たちはコミュニケーションの未来をMTVに譲り渡したくはないと思っていました。そこでコンピュータを活用し読書経験を拡張する方法を模索したいと考えていたのです。プロジェクトの一環として、「TEXT:The Next Frontier」と書いたプロパガンダ用のTシャツを作ったり、試験的に何冊かの本を電子形式に置き換えてみたりもしましたが、本格的な商業出版が実現できるのは少なくとも4、5年先のことだと思っていました。

 アップル社からマッキントッシュ・パワーブックのプロトタイプが送られてきたのは、その1年後のことでした。パワーブック到着後30分もたたないうちに、スタッフのひとりが気に入りの本の数ページをハイパーカードのスタックに流し込み、オフィスのみんなに見せて回り始めました。その優雅なグレーの輪郭にはめ込まれたオフ・ホワイトのディスプレイには、飛びもチラつきもなく、くっきりとPalatinoの書体が映し出されていました。それはコンピュータ上で私たちがそれまで見たことのない光景でした。それは不思議なほど「本」に似ていたのです。 すぐにパワーブックが単なる小型のマック以上の意味をもっていることが分かってきました。それは次世代のパーソナルコンピュータのさきがけとして、初めて充分使用に耐える機能とコンセプトとを提供する装置だったのです。アラン・ケイのダイナブック構想に代表されるような、「創造的な思考を助けるダイナミックなメディア」たりうる強力なブック型のコンピュータ、私たちはその最初の世代をパワーブックに見いだしました。

 そんなわけで、パワーブック到着1時間後にはもう本格的に電子の「本」を出版することを決意していました。もちろん、それが完璧な環境であるというわけではありません。スクリーンが横長である、重すぎる、モノクロで、しかも写真さえ満足に表示できない、検索エンジンが貧弱だ、等々、欠点はいくらでも挙げられます。しかし、実験を開始し電子出版の進化をはかっていくための機はもう熟していると思われたのです。エキスパンド・ブックは13インチ以上のモニタさえあれば、どのタイプのマックでも読むことができるようになっています。しかし、私たち開発者の念頭にあった動作環境はパワーブックだったのです。

 ブックのデザインをするとき私たちが目指していたことは、これを見る誰もがそれを一目で「本」であると感じられるようにすること、そして、「本」のもつ優れた機能性も極力保持して読者ができるだけ不自由を感じないようにすること、それだけです。文字検索やノートにテキストをコピーする機能などは、いわばボーナスにすぎません。そういったコンピュータ的な機能を得るために、読者が「本」で享受していたことをあきらめる必要は全くないのです。

 誰もが私たちにする質問があります。「コンピュータで読書したいなんて思う人がいるのでしょうか?」正直言って、まだ私たちにも確信がもてません。ただ、直観的に感じているのは、テキストをリーダブルな形でコンピュータに移植することは、巻紙からきちんと装幀された本への移行に匹敵するくらい重要なことかもしれないということです。巻紙というのはリニアなメディアであり、読者は内容へのアクセスを非常に制限されます。しかし、それが一旦ページ割りされ順番に綴じられることで、読者は文書のどの部分にでも直接アクセスできるようになります。それと同じように、テキストが電子化されることにより、今度は読者はどの語句にでもアクセスできるようになります。そのうちこのことが読書の仕方をよりアクティブなものに変えていくかもしれません。小説に出てくるある登場人物だけを追跡してみたり、簡単に100ページ前を参照してまた元のページに戻ってきたりという具合に。そして、さらにそれ以上のことが起こるに違いありません。著者もまた、自分の読者がこのダイナミックなメディアで作品を読むことになるのを意識しながら書くようになることでしょう。そして、そのとき私たちは表現の新しい形を見ることになるのです。

1992年1月
ボイジャー・エキスパンド・ブック開発チーム

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ボイジャー・ジャパン発足

報道資料(1992年11月20日)より

マルチメディア出版ビジネスの新展開
マルチメディア専門の制作/出版社ボイジャ−・ジャパン発足

「米国の優れたマルチメディア・ソフトを日本に紹介し、同時にアジア、日本のクリエ−タ−の作品を世界に発信する」


 本年10月26日、米国のニュ−メディア専門出版社ボイジャ−社と日本のソフト制作者グル−プとのジョイント・ベンチャ−により、マルチメディア・ソフトの制作/出版社ボイジャ−・ジャパン(正式名称:株式会社ボイジャ−、東京都渋谷区、代表取締役萩野正昭)が発足しました。

 新会社ボイジャー・ジャパンは、米ボイジャ−社が現在日本に於て権利を有するボイジャー・レーベル作品の販売、日本語化、サブライセンス等に関する一切の権利を独占的に保持運営していくと同時に、また今後米ボイジャ−社が制作、販売していく作品についても同様の権利を保有することになります。ただし、既に米ボイジャ−社とボイジャー・ジャパン以外の会社との間で契約が完了している一部作品は対象外となります。

 ボイジャ−・ジャパンでは、上記業務と同等の比重で独自のソフト開発や出版プロデュ−スにも力を入れていく方針であり、現在、様々な企画の検討、計画を進めております。米ボイジャ−社はサンタモニカ以外にニュ−ヨ−ク、パリに制作/販売拠点をもち、ボイジャ−・ジャパンではこれらのネットワ−クを利用して、日本、アジアの制作者と世界とを中継する有力な情報の発信/受信基地となることを目標にしていきます。

 当面の具体的な活動内容としては、

1)既に会社発足と同時に、米ボイジャ−・レ−ベルのプロダクト30数タイトル(別紙リスト参照)の輸入販売、ユ−ザ−・サポ−トの体制作りに着手し始めており、速やかにこの業務の基礎がためを進めていきます。

2)同時に、上記プロダクトの中から主要なCD-ROM作品18タイトルの日本語化、あるいは日本語システムへの対応を図っていきます。来春以降、順次それらの日本語版を発売していく予定です。

3)また、本年1月米国での発売が開始され、現在世界の電子出版業界の注目を集めている「Expanded Book」および「Expanded Book Toolkit」の日本に於ける市場導入を積極的に図っていきます。(詳しくは、別紙「新製品資料」をご参照ください。)

なお、商品の販売ル−トに関しては、既存のコンピュ−タ・ソフト流通チャネルを中心に、出版ル−ト、メ−ルオ−ダ−などへの展開も図っていく計画です。

会社概要
社名 :株式会社ボイジャー ( 英文表記:Voyager Japan Inc.)
    (市場向けには、「ボイジャ−・ジャパン」をレ−ベル名としてアピ−ルしていきます。)
本社 :東京都渋谷区神宮前5丁目12番4号
設立 :1992年10月
資本金:1000万円
役員 : 萩野正昭(代表取締役)
     鎌田純子(取締役)
     北村礼明(取締役)
     祝田 久(取締役)
     ロバート・スタイン(取締役)
     菅野則雄(取締役)
     大内 明(監査役)
以上

(編者注:95年11月現在株式会社ボイジャー本社は、東京都渋谷区神宮前5丁目41番14号に移転しております。また、パリ事務所は現在存在しません。)

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日本語対応の開始

新製品資料(1992年11月20日付け報道資料付録)より
エキスパンド・ブック
エキスパンド・ブック・ツ−ルキット

製品概要

 「エキスパンド・ブック」は、本年1月、Macintosh PowerBookユーザーをメイン・ターゲットに米ボイジャー社が発表した電子ブックの新しいフォ−マットで、HyperCard2.1をベ−スに開発されました。米国では出版界の熱い支持をあつめて好評発売中であり、「ニューロマンサー」「カウント・ゼロ」「モナリザ・オバ−ドライブ」の3作を集めたウィリアム・ギブソン作品集、マイケル・クライトンのベストセラ−SF「ジュラシックパ−ク」など既に30タイトル以上が市販されています。

 この「エキスパンド・ブック」のフォ−マットには3つの大きな特徴があります。

 第一の特徴は、既存の「本」の体裁を徹底的に模倣していることにあります。余白を大きく取り、スクロールや煩雑なメニュー・アイコンなど紙の「本」には見られない馴染みにくいインターフェイスは一切排除されています。このことは、コンピュ−タ・ディスプレイの上で出来るだけ抵抗感少なく本格的にテキストを読めるようにするために、洗練された「本」のデザイン・ポリシ−を見習ったということであると同時に、出版界がもつ確立されたデザイン・ノウハウをそのまま電子出版の分野に活用できるということでもあります。

 第二の特徴は、そのような「あたりまえ」の体裁の裏にコンピュータならではの機能が付加されていることです。多様な検索、マーキング機能はもちろんのこと、アノテーション(注釈)機能により、サウンドやQuickTimeムービーなどのマルチメディア・リソースとテキストとのリンクが実現しています。

 最後の特徴は、このフォ−マットを使って、安く簡単に誰でも電子出版を行なうことのできるシステムが既に提供されているということです。本年6月に米国で発表された「エキスパンド・ブック・ツ−ルキット」には、そのためのオ−サリング・ソフト一式と商業出版を行なう際のライセンスのル−ルが含まれています。

 これらのポリシ−に賛同して、既にランダムハウス社はフォークナー、メルビル、ワイルド等の古典文学シリ−ズを「エキスパンド・ブック」フォ−マットで発売しており、マッグローヒル、マクミランなど大手出版社もビジネス書、旅行ガイドなどの分野からこのフォ−マットに参加していくことを表明しています。

日本における市場展開

 ボイジャ−・ジャパンでは、こうした動きを日本においても開拓・発展させていくことを計画しています。フロッピ−による電子出版ならロットに関係なく1冊あたり数百円の製造費で効率的な製販管理を行なうことができます。この「エキスパンド・ブック」フォ−マットは、日本においても書店販売向けのマルチメディア出版の新しいスタイルとして期待できるばかりでなく、今後、自費出版や小部数しか見込めない企画に最適な出版形態のひとつとなっていくことが予想されます。

 「エキスパンド・ブック」シリ−ズについては、日本の市場に合った企画で独自のタイトル編成を行なっていくと同時に、既に他社との出版計画も進行中です。

 また、タイトル作りと連動する形で、来春発売をメドに「エキスパンド・ブック・ツ−ルキット」の日本語版開発を行ないます。「エキスパンド・ブック・ツ−ルキット日本語版」は、これを購入する誰もがソフトウェア以外の一切の力を借りることなく出版を体験できるものであり、出版社はもとより、研究者、教師、学生、主婦、勤労者を問わず広範な人々が利用出来る新しいソフト・ビジネスの領域を切り開く可能性を秘めているのです。

以上

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『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』の発売

新製品資料(1993年5月25日)より

日本語版
『エキスパンド・ブック』第1弾
『エキスパンド・ブック・ツ−ルキット』
ボイジャー・ジャパンより発売

『日本語版エキスパンド・ブック』第1弾、6月より各社から発売
『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』7月5日発売

 ボイジャー・ジャパンでは、フロッピーディスクによる Macintosh 用電子出版の新フォーマット日本語版エキスパンド・ブックの第1弾として、稲垣足穂作品集『TARUHO FUTURICA』(タルホ・フューチュリカ、税抜価格¥3,500)を1993年6月25日に発売します。また、この他に同月から翌月にかけて、他の出版社数社からも日本語版エキスパンド・ブック・フォーマットを使用したタイトルとして合計4作品の発売が予定されています。これらのタイトルはすべて、ボイジャー・ジャパンが現在開発中のオーサリング・ソフト『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』を使用して作成されています。同社では、この『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』(税抜価格¥45,000)の一般市販を7月5日に開始する予定です。詳細は以下をご覧ください。

6月、7月発売予定 5 タイトル

稲垣足穂作品集『TARUHO FUTURICA』(タルホ・フューチュリカ)
 発売元:ボイジャー・ジャパン、税抜価格¥3,500、6月25日
 詳細は添付別紙をご参照ください。

・ノンフィクション作品『マリリン・モンロー 検屍台の女神』
 発売元:(株)リクルート メディアデザインセンター、税込価格¥3,000、6月18日

・フロッピー&ペーパー『M.O.P. ( Media Of Pop )』
 発売元:ユー・ピー・ユー、税込予価¥3,500、6月20日

・ハイパー・スタック・マガジン『FiLo 19号』
 特集:メディアとしての超能力、FiLoの総括
 発売元:日本スタックマガジン社、税込価格¥3,150、7月発売予定

・『3.5MO disk MacPress 3D特集』(株)サクレMacPress編集部発行
 ヤノ電器 (株) のMOディスク2枚を使用したマルチメディア版MacPress
 発売元:(株)リクルート メディアデザインセンター、税抜予価¥15,800、7月15日

(中略)

「日本語版エキスパンド・ブック」
「エキスパンド・ブック・ツ−ルキット日本語版」

 ボイジャ−・ジャパンでは、現在、このエキスパンド・ブック・フォーマットの日本語版制作の最終段階にはいっております。フロッピ−による電子出版ならロットに関係なく1冊あたり数百円の製造費で効率的な製販管理を行なうことができます。この「エキスパンド・ブック」フォ−マットは、日本においてもマルチメディア出版の新しいスタイルとして期待できるばかりでなく、今後、自費出版や小部数しか見込めない企画、絶版本の復刻などに最適な出版形態のひとつとなっていくことが予想されます。出版に使用するメディアは、内容のデータ量等によって、FD、MO、CD-ROM、あるいはコンピュータ通信など様々な形態が利用可能となります。

 「日本語版エキスパンド・ブック」のタイトル企画については、6月以降、日本の市場に合った企画でボイジャー・ジャパン独自の編成を行なっていくと同時に、既に(株)リクルートを始めとする他の出版社による出版計画も進行中です(前記タイトル一覧、および添付別紙参照)。今後、フロッピー版だけでなく、CD-ROM等のメディアへの展開も計画中です。

 また、7月5日に発売を予定している「エキスパンド・ブック・ツ−ルキット日本語版」(税抜価格¥45,000)は、これを購入する誰もがソフトウェア以外の一切の力を借りることなく電子出版を体験できるものであり、出版社はもとより、研究者、教師、学生、主婦、勤労者を問わず広範な人々が利用出来る新しいソフト・ビジネスの領域を切り開く可能性を秘めています。ツール購入者は、作成したブックを自由に無償配付することができます。また、商業出版する場合のルールも簡単で、小売価格の1%または、18円のどちらか高い方の金額をロイヤリティとして、ボイジャー・ジャパンにお支払いいただくことだけが条件です。また、ボイジャー・ジャパンでは、ユーザー(商業出版者を含む)への技術サポートや個人出版者への製造/販売協力なども行ないます。詳細は添付別紙をご参照ください。


エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版
ボイジャー・ジャパンより
7月5日発売予定

Macintosh用電子出版オーサリング・ツール
テキストから始めるマルチメディア
著者を、そして読者のパワーを拡張する新しいコンセプト

 『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』は、あらゆる本やテキストを「日本語版エキスパンド・ブック」フォーマットで電子化し、フロッピーディスクや CD-ROM で出版するための画期的なオーサリング・ツールです。ワープロや DTP ソフトのデータを利用して、どなたでも簡単にご自分の電子本=エキスパンド・ブックを作ることができます。「日本語版エキスパンド・ブック」は、できるだけ本のように見え、できるだけ本のように機能するよう作られています。文章に下線を引いたり、ページをマークする機能や、読者が書き込める広い余白とノートブックなどが用意されています。さらに、「最初」「次」「最後」などの条件付き検索できる他、前後の文脈付きで全検索結果をリストにするなど、本を発展させた電子出版ならではの機能が備わっています。

 『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』を使えば、ラップトップ型、デスクトップ型を問わず、様々な Macintosh 上でエキスパンド・ブックを作ることができます。音声、イラスト、Photo-CD、アニメーション、QuickTime ムービーなど、Mac で使える素材はすべてご自分の本に注釈としてブックに組み込むことができます。また、カスタマイズ機能を使えば、HyperTalkでスクリプトを書き込んだり、他のアプリケーションにリンクすることも可能です。ボイジャー・ジャパンでは、ユーザー(商業出版者を含む)への技術サポートや個人出版者への製造/販売協力なども行ないます。

 なお、『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』は、基本的に英語版のコンセプト、インターフェイスを継承しながらも、漢字Talkシステムおよび日本語による出版固有の問題に対応するため、大幅に内部構造を作り替えています。したがって、英語版『エキスパンド・ブック・ツールキット』との互換性はありません。(もちろん、日本語版ツールキットで英文書体を扱うことは可能です。)

エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版の特徴

・テキストを読み込むだけで自動的に字数を数え、ページ割り付けする
・レイアウト変更も簡単
・目次を自動作成する
・文章にマルチメディアの注釈をつけることが可能
・用途に応じた様々なテンプレートが付属( PowerBook用、12 インチモニタ用、13 イ ンチモニタ用、9インチモニタ用、汎用テンプレート)
・出版に使用するメディアは、FD、MO、CD-ROM、あるいはパソコン通信など様々な形態が利用可能です。

注釈としてテキストにリンクできる素材

・他のページ/他のブック/他のスタック
・テキストウインドウ
・音声
・グラフィックス
・Photo-CD
・QuickTime ムービー
・アニメーションなど、他のアプリケーション/ファイル
・HyperTalkで書いたスクリプトの実行

必要システム

・漢字 Talk 6.0.7 以上。(漢字 Talk 6.0.7 上では、QuickTime ムービーによる注釈は機能しません。漢字 Talk 7.1 以上であれば、すべての機能が使用できます)
・HyperCard2.1J または HyperCard2.1J-Lite 。
・QuickTime vJ2-1.5、Claris XTND、Claris Translators は付属しています。
・ハードディスクドライブ付きの Macintosh 。(4MB 以上の空き容量が必要です)
・HyperCard のアプリケーション・メモリ使用サイズは、少なくとも2000K 以上必要です。作成するエキスパンド・ブックの内容(例えば、他アプリケーションの起動など)によってメモリ使用サイズは大きくなる場合があります。

出版に際してのルール

 このツールキットで作成したエキスパンド・ブックは、非営利目的の使用/配付および個人的な使用に限り、自由に配付することができます。商品化する場合は、弊社に対し日本語版エキスパンド・ブック・エンジンおよびThe Libraryの使用料をお支払ください。また、ボイジャー・ジャパンでは、ユーザー(商業出版者を含む)への技術サポートや個人出版者への製造/販売協力なども行ないます。

英語版からのアップグレード

英語版の正規ユーザーは、¥5,000で日本語版へのアップグレード・サービスを受けられます。詳しくは、ボイジャー・ジャパンにお問い合わせください。

商品仕様

商品名:『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』
\45,000(税抜き価格)、2HDフロッピーディスク2枚組、日本語マニュアル(チュートリアル含む)付き

制作/発売元:ボイジャー・ジャパン
以上

(編者注:95年11月現在、商業出版のロイヤリティーは一律1%に変更されています。また、このHyperCard 版『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』は現在は発売されておりません。なお、『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』が実際に出荷開始されたのは93年7月下旬でした。)

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作家よ来たれ!

報道資料 1993.10.18.
自作のエキスパンド・ブックをマックワールドで売ろう

来春マックワールド東京にて
エキスパンド・ブック特設ブースを設置
ボイジャー・ジャパン

 ボイジャー・ジャパンでは、来年2月幕張メッセにて開催されるMacWorld Expo/東京94にエキスパンド・ブック特設ブースを設置します。これは、ボイジャー製品の展示ブースとは別に、エキスパンド・ブックを個人的に活用し作品を作ろうとしている全国のツールキット・ユーザーのために設ける、自費出版エキスパンド・ブック専門の売店であり、運営はボイジャー・ジャパンが行ないます。FD のデュプリケーション、共通パッケージの供給など商品化のためのサポートも実費にて行なう予定です。詳細はボイジャー・ジャパンまでお問い合わせください。

 また、同ブースに隣接して、商業出版数社によるエキスパンド・ブック最新作の合同展示即売ブースも設置される予定です。来春のマックワールド会場では、これらブースの結集する「エキスパンド・ブック横丁」において、米国・日本の最新プロダクト情報を含むエキスパンド・ブックの全状況が一挙公開されることになります。個人的な出版が持っている自由ではつらつとした息吹と商業出版各社による多彩で個性的な企画の競演に乞うご期待ください。

(編者注:上記合同展示即売ブースには、TBS・リクルート・オープンブック・フォーアーベントの4社が参画した。)

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この世界には、あなたの本を読みたい人が必ずいる

 どこかで必ずあなたの本を待つ人がいる、そう信じることからエキスパンド・ブックは生まれました。あなたの本は決して多くの人々には読まれない、そう嘆くことからエキスパンド・ブック・ツールキットは創られました。紙と印刷という人類の偉大な発明がありながら、冷たい機械をとおして言葉を読み取る辛い方法を選ばねばならなかったのは、売れないとわかっても声を発することを諦めたくなかったからです。人間として私達が世に送りだすすべてが祝福されるものばかりではない、しかしその中にも忘れさることの出来ない大切なことが消えずに残されています。どんな方法を使ってもこれらを届けることは私達の仕事の一つではないでしょうか。テクノロジーを頼る理由がここにあります。

 500年前、生まれたばかりの活版印刷は稚拙な揺籃期の技術にすぎませんでした。ルネッサンスを支えたヒューマニスト達は羊皮紙の手写本を愛し稚拙な活字本を軽蔑していたといいます。確かに比較において当時の活字による出版は貧弱な手段でした。しかし毅然と本をつくる意思がたとえ貧弱であろうともその手段を必要としていたのです。後に花開く活字文化への確信は稚拙なものの中にさえしっかりと息づいていました。ワープロが姿を現したとき、どれだけの人がこの機械で字を書く毎日を想像したでしょうか。この10年間に言葉を書くという生活のスタイルは確実に変化しました。

 言葉をおおいに使いたい。言葉を大切な伝達手段と考えるのは、それが私達の一番熟達した手段だからです。満天の星空のような、無数の言葉の宇宙から私達は苦もなく一言一言を紡ぎだします。これほど力ある幅広い可能性をいまだたたえている手段がほかに与えられているでしょうか。この言葉をもっと自由に使うために新しいテクノロジーを利用しようと思います。

 やがて言葉を読むという人々のスタイルにもきっと大きな変化がおとずれることでしょう。最も期待するのは人々がどんな機械を使うかということではなく「書く」ことと「読む」こととの間にある隔たりが限りなく近づいていくことです。どこにあろうとも培った知識を後世に残していかねばなりません。私達は書き手であり、同時に時代の証しを探る読み手でもあるのです。それが人間としてのあたりまえの生活であることを願います。エキスパンド・ブックはそうした試みの一つとしてあり、この仕事に参加するすべての人たちに利用されることを待っているのです。

(萩野正昭、93年11月、『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』カタログ原稿より)

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エキスパンド・ブックのすすめ

 『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』を使用すると、あなたのワープロ原稿を簡単に電子の本に仕上げることができる。それはあなたが机上のコンピュータで作り、あなたの知らない誰かがコンピュータで読むための本だ。この本は紙ではなく、フロッピーディスクやCD-ROM、あるいはパソコン通信などを介して流通される。

 この方法を使うと、とかく収益構造が悪いと敬遠されがちな小部数の出版でも、たったひとりの力で安く簡単に実現できることになる。出版社や印刷所の力を借りる印刷本とはまずそこが違う。素人がひとりで出版できることの自由、これが第一の、作る側にとってのメリットだ。さらに本という優れたメディアに検索やマルチメディア、マルチリンガルなどのコンピュータパワーを付加することができる。これは使い方次第で、作る側読む側双方にとってのメリットとなる可能性をはらんでいる。

 むろん現状のコンピュータ・ディスプレイ上で大量の文字を読むにはいささか忍耐を要することなど、反対にデメリットを指摘することも容易である。しかし、それらはデザインの工夫で緩和することができるし、結局は過渡的な問題といえるだろう。つまり、それらは技術者や表現者が努力して克服していくに値するデメリットなのである。その努力はすでに始まっている。

 電子出版の面白さは、新奇なテクノロジーを自分のものにする無償の楽しみであると同時に、それが期せずして既成の出版ビジネスのあり方への批判ともなり、別種の著者や読者出現への野蛮な予感をもはらんでいることにある。そして、最も愉快なことはその担い手が大企業ではなく、ひとりひとりの個人だということだ。

 まず日記や随筆、回想や旅行記から始めてみよう。体験に基づくハウツーものも面白いかもしれない。短い文章で事実関係を記述分析したり思考や感想を表現してみる。さらにそれへの注釈として、写真やビデオ、イラストや音声、あるいは他人の文章などあらゆるメディアを自分の文章に貼り付けていくことができる。千切れたネックレスを結び直すように、このエキスパンド・ブックの方法によって、飛散した過去の断片をひとつの豊かな経験へとまとめ上げることができるかもしれない。

(北村礼明、93年11月、『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』カタログ原稿より。次項も同じ)

●エキスパンド・ブックの製法

STEP1
文章をワープロ原稿にする

Macintosh以外のワープロ原稿でも、テキスト形式に変換できれば何ら問題はない。印刷原稿をテキスト化するにはOCRソフトを利用する手もある。古い手紙や日記帳など手書きの原稿の場合は、愛情をこめて気長にワープロ入力し直すことから始めよう。この段階では、まだ『ツールキット』を使用しない。

STEP2
テキストを読み込む

ここからが『ツールキット』の出番だ。本の版型を決め、テキスト・ファイルを読み込んでいく。文字の書体やサイズは読み込む前に決めても、あとから変更してもよい。ひとつのファイルがひとつの章として次々に自動レイアウトされていく。すべてのファイルを読み込み終わると、章ごとにページを付した目次が自動作成される。これだけのことで、もう検索機能を備えた電子の本が出現している。数百ページの本が数時間で出来上がるのだ。

STEP3
レイアウトを調整する

禁則処理はテキストの読み込み時に既に行なわれている。あとは『ツールキット』のオーサリング機能を利用して、章扉にイラストや凝ったタイポグラフィーの表題を貼り付けたり、本文中に写真や挿絵をはめ込むなどの作業をおこなう。本文の編集やレイアウトの微調整をする補助機能も活用して、読みやすい本作りにいそしもう。この部分が作業の山場だ。どれだけ丁寧な仕事をするかで作業時間は大きく変わってくる。

STEP4
注釈をつける

テキスト、グラフィック、QuickTime ビデオ、サウンドなどマルチメディアの注釈素材はあらかじめハードディスクに準備しておく。写真のデジタイズにはPhoto-CDを利用する手もある。レイアウト調整の終わった本文の中からマウスで注釈を付けたい語句をセレクトする。『ツールキット』の注釈機能で素材のファイル名を選択してやる。これで完了。文章にワンタッチでマルチメディアの注釈を付加してやることができる。プログラミングの知識は一切必要ない。注の付いた語句には下線が表示される。読者がこの語句をクリックすると、マルチメディアの注釈が表示されるという寸法だ。

STEP5
出版する

最後に『ツールキット』の出版コマンドを選ぶ。ブックから『ツールキット』が切り離され、以後改変や再編集が不可能な状態になる。これであなたの本のマスターができあがった。これをフロッピーディスクにコピーすれば、100円足らずの製造費で一冊のエキスパンド・ブックができあがる。サウンドやQuickTime ビデオなどデータ容量の大きい注釈を多用した場合には、フロッピーディスクでは収まり切らないので、CD-ROMに焼く必要がある。テキスト中心のブックなら、1,000ページ以上のものを圧縮してフロッピーディスクに収録することができる。

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エキスパンド・ブックの展開

エキスパンド・ブックの登場

 92年1月、3枚のフロッピー本が米国ボイジャー社から発売された。『エキスパンド・ブック』と銘打たれたフロッピーディスクの中には、それぞれマーチン・ガードナーの注釈付き『不思議の国/鏡の国のアリス』、マイケル・クライトン『ジュラシックパーク』、ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイカーズ・ガイド』といった文学作品が収められている。早速それをコンピュータに入れて動かしてみると、白地に黒い文字の並んだ画面が映しだされる。読者はこれを1ページずつめくりながら読み進めていく。何だ、ただの「本」じゃないか!そのとおり。値段も3000円前後と、そう高いもんじゃない。しかも、『ジュラシックパーク』の場合、文中にある恐竜の名前をクリックすると、その鳴き声と想像図まで飛び出してくるのだから、お買い得ですよ。

 遊びの分かる好きものたちはいち早くこれに飛び付いたし、当時発売されて間もないPowerBookにうってつけの「電子出版」として、マスコミでも数多く取り上げられた。その後、順調にタイトル数を増やしながら、現在フロッピー・ディスク仕様のものだけで80数作を数えるに至っている。さらにそのフォーマットはCD-ROMの制作にも応用され、内容・表現ともにますます多彩な展開をみせ始めている。

 これからこのフロッピー本について色々お話していきたいと思うが、主旨は極めて単純で、要するに普段使っているコンピュータの上で本を作り本を読んでみようじゃないか、ということに尽きている。これは本気にとればラディカルな主張である。一体それが何をもたらしてくれるのだろうか。小説は文庫本で充分である、と多くの人が考える。いきおい電子出版といえば、紙の本にはない機能的経済的なメリットばかりが生真面目に取りざたされることになる。本当は、コンピュータのクールなディスプレイがもたらした新しい感性についても論じなければならないと思うが、それはまた別の機会に譲ろう。

 実際、あとで説明するように検索やマルチメディアといったお馴染みの機能は、このエキスパンド・ブックにも備わっている。しかし、そんなものは敢て言えば、もはやMacintoshそのものが内蔵している基本機能といってよいのではなかろうか。エキスパンド・ブックというソフトウェアにおいて肝心なことは、それがまさに「本」であるということだ。コンピュータ・テクノロジーにどっぷりと身を浸しながら、あえて「本」という優れたメディアに回帰することで拓かれてくる、別の新しい地平線を見つめてみよう。これはいわば才乏しき者の戦略的撤退である。映像や音声ばかりを偏重するいまのマルチメディアの世界は、自由な言葉の翼をもぎとられているようで、ときとして窮屈であり退屈でさえある。テキストと映像、音声表現との間を自由に往来してみたい。そのためにコンピュータがひたすら本に憧れることをよしとする奇妙な運動、それが「エキスパンド・ブック」なのである。

本のメタファー

 電子出版という言葉はそう耳新しいものではない。しかし、テクノロジーを知的活動に利用しようと考える人々がそこに期待していたものは、何よりもデータベースとしての機能であり、電子出版といえば、CD-ROMの中に膨大な事典のデータや古典のテキストが詰め込まれているものというのがつい最近までの一般的なイメージだった。それは読書の対象となるようなものではなく、研究者や専門家がコンピュータパワーを利用して、そこから必要な情報を引っ張り出したり、一種の統計作業のようなことを効率よく行なうための技術として捉えられていたのである。これらを電子出版における第一世代とすれば、エキスパンド・ブックはその第二世代であるといえる。それは機能やデータ量より文脈やデザインを重視しており、本のメタファーを根幹に据えている点で前の世代とは大きく異なっている。では、ここで日本語版エキスパンド・ブック・フォーマットの概要を説明していこう。

 エキスパンド・ブックにとって、フロッピーディスクは運搬や保存のための仮の入れ物にすぎない。実際に読むときには、ブック本体をハードディスクにコピーしてそれを起動させる。その際、HyperCard 2.1-Jというアプリケーションが必要になるが、これはMacintoshのシステムにオマケとして付属しているので、それを利用すればよい。さて、起動させると、まず表紙が現われる。マウスをクリックしてそれをめくると、次に著作権者・出版者等を表記した「前付け」ページがある。さらにページをめくると目次になる。目次の中の項目をクリックすると、その最初のページが開かれる。クリックをしないで、キーボードの右向きの矢印キーを押していけば、順番に1ページずつ先へ進んで行く。当然、左向きのキーを押せば、ページを遡ることができる。

 このように、実際に指でページに触れられないこと以外は、すべて本と同じイメージ、同じ使い勝手でコンテンツへと導入されていくよう構成されていて、意味不明のアイコンや煩雑な選択肢が突然襲いかかってくる心配もない。だから、読者はコンピュータの操作をことさら意識しないで、直接内容の方に入り込んでいくことができるのである。むろん、本を知らない原始人にはこのメタファーの効果も通用しないかもしれない。しかし、自称機械オンチのアナログ人間でも、本なら読んだことがあるはずだ。つまり、人は誰しも本の操作方法を学習済みの状態にある。本のメタファーによりコンピュータ・リテラシーの問題を解決していくこと、これがエキスパンド・ブックのデザイン思想の一カ条である。

 次に本文ページを見てみよう。開いた本の右側のページだけを切り取って持ってきたようなイメージだ。横書きに組まれた文字の周囲には白い余白が残されている。ここにはワープロの要領で読者が自由に書き込みをすることができる。ページの角をクリックするとそこが折れ曲がり、もう一度クリックすると元に戻る。ページの端にペーパークリップを挟むこともできる。また、文章の一部に下線を引いたり、ゴシック文字に変えたりすることも可能だ。これらのことはすべて本の機能的側面のメタファーであるといえる。

 本というメディアの特徴のひとつは、ページの厚みが一目瞭然なことである。厚みによって、読者は全体の分量や現在読んでいるページの位置を感覚的に掴むことができる。純粋に2次元的存在である電子本にとって、これは最も模倣しづらい部分である。エキスパンド・ブックの場合、この弱点を少しでも補うためにゲージという機能が用意されている。これを選択すると、ページの下部に細い横長のワクが表示される。このワクの左右の幅が本の全体を表す。左端が表紙を示し、そこから現在のページ位置までは常に棒グラフのように黒く塗つぶされた状態になる。これでアナログ的に現在位置を知ることができる。ワクの中で適当にマウスを押したり引きずったりすると、それに合わせてゲージが動き、ページもパラパラと大雑把にめくれていく。

電子本としての機能

 コンピュータ特有の機能はすべて本的な体裁の背後に隠されおり、必要なときにはいつでも利用できる。例えば文字検索の場合、文中の語句をマウスでセレクトして、その部分を押し続けていると検索条件のポップアップメニューが表示される仕掛けになっている。対象語句が次に出てくるページ、最初に出てくるページ、出てくる箇所すべてを前後の文脈と共に一覧、など様々な条件の設定が可能である。この機能により、人名やキーワードを検索しながらテマティックに本を飛ばし読みすることが容易になる。もちろんキー入力して任意の語句を検索することもできる。また余白の書き込みやページの隅を折ったマーキング情報などは自由に出し入れが可能で、つまり、同じ作品に対して他人が付加した情報をもらってきたり、自分自身の昔の書き込みを復元してみたりすることができる。

 付属のノートブックにはコピー&ペーストの要領で本文の一部を引用することもできる。引用文には書名とページ数が自動的に注記される。このノートブックはいわばワープロのようなものであり、自分の文章も書き込める。その内容はプリントアウトしたり、テキストファイルに書き出したりすることができる。ブック自体のページ・イメージをそのままプリントアウトすることも可能だが、テキストデータをまるごと外に持ち出す機能は付いていない。

 エキスパンド・ブックの電子本としての最大の特徴は、その注釈機能にある。本文中のグレーの下線の付いた語句をクリックすると、音声が聞こえてきたり、写真がポンと現われてページの上に置かれたような状態になる。同様にして文章による注釈やビデオの画面も表示される。つまり、エキスパンド・ブックは、言葉に対する注釈としてマルチメディアを利用しているのである。ここにも本のメタファーというデザイン思想は貫かれている。

 以上がエキスパンド・ブックの基本フォーマットだ。このフォーマットを何に利用し、どう崩していくかは、著者・編集者そしてデザイナーの自由である。市販されているエキスパンド・ブックを中心にして、その展開例を見てみよう。

様々なタイトル

 最初の日本語版のエキスパンド・ブックとして93年6月に発売された稲垣足穂の作品集『タルホ・フューチュリカ』(FD版)は、作家本人のテキストを読むことだけに的を絞った端正なデザインが特徴である。収録作品は『一千一秒物語』『未来派へのアプローチ』『物質の将来』『オルドーブル』の4作。じめじめドロドロした日本的な文学風土を嫌い、「薄板界」の住人を標傍したこの21世紀ダンディーの思索の跡をたどるのに、Macintoshのディスプレイほど相応しいものはなかろう。注釈はもっぱらテキスト中心で、足穂が駆使する芸術・宗教・哲学・物理学にわたる用語の解説に奉仕している。古い英国海軍の唄「ルールブリタニヤ」や初期の複葉飛行機に言及したくだりでは、サウンドや写真・図解などの注釈も用意されている。短編のアフォリズム集『オルドーブル』では、簡単なサウンドを付加した字幕だけの映画とでもいうべき表現を試みている。

 94年春に日本語版が発売開始される書き下ろしのCD-ROMシリーズ『So I've heard(邦題未定)』は全6巻の西洋音楽史で、著者のアラン・リッチはLA Weeklyなどで活躍するコンサート/レコード批評のベテランである。学者の文章とは一味ちがうユーモアにとんだ平明な文章で、古代世界の音楽の発生から中世バロックにかけての記譜法および作曲家の誕生過程、そして現代に至る様々なスタイルの展開を、実際の演奏をふんだんに引用しながら解説していく。引用される楽曲は、著者のレコード・コレクションから抜粋されたもので、クラシック音楽のCD名盤ガイドとしての性格も持っている。

 93年日米両国において最大のヒット作のひとつとなったCD-ROM『A HARD DAY'S NIGHT(英語版)』は、ビートルズ最初の長編劇場用映画『ビートルズがやってくるヤア!ヤア!ヤア!』をQuickTimeビデオで全編収録したもので、もちろん映画だけを通しで見ることもできるようになっているが、その一部をエッセイを読みながら参照したり、シナリオと相互対照させたりなどエキスパンド・ブックならではの趣向が特徴になっている。監督リチャード・レスターに関する評伝の中では、彼の初期作品が注釈の形で引用されている。

 ボイジャー社の最新作『WHO BUILT AMERICA?(英語版)』は、アメリカ移民の歴史を社会史の観点から研究した、CD-ROMによる初の本格的歴史書である。原著はランダムハウス社からパンテオン版で刊行されており、その著者グループであるAMERICAN SOCIAL HISTORY PROJECTが2年間をかけてこのCD-ROM化にあたった。CD-ROM版の特徴は、テキストの背後に様々な史料(手紙、新聞記事、マンガ、映画、ラジオ放送、レコードなど)がデータベース化されていることである。著者が文章を書くとき依拠していたこれらの原資料そのものに、読者は注釈や参考資料の形で簡単にアクセスできるようになっている。

 そのほかにボイジャー社では現在、シェイクスピア『マクベス』、マービン・ミンスキー『心の社会』、ジョセフ・キャンベル『神話の力』、ピューリッツァ賞受賞コミック『マウス』、吉本隆明『共同幻想論』、日本の現代詩人の作品集など様々なCD-ROMの制作に着手している。

 また、日本語のタイトルで他に現在発売中のものとして、『マリリン・モンロー検屍台の女神』(FD版、リクルート・メディアデザインセンター)、『ゴジラ生物学序説』(FD版、イマジニア)、『高校教師』(CD-ROM版、TBS)などがある。94年度に向けて、現在さらに多くの企業や個人の手によるエキスパンド・ブックの企画が進行中である。その中には、オリジナルの推理小説や歴史小説、コミックスも含まれている。また、小児科医によるアトピー治療講座、ヴェーダーンタ哲学の翻訳出版など、医療や学術分野における自費出版活動にも利用され始めてきた。94年2月のマック・ワールド・エキスポ幕張では、そんな個人による様々な自費出版ブックのデモ即売会も計画されている。ご期待願いたい。

 このように概観してみると、「本のメタファー」には制作者の発想を自由にしてくれる効能もあることが分かる。同じCD-ROMの制作といっても、映画の撮影のように背水の陣の制作体制を敷いてプロフェッショナルを集め、高額の制作予算を投資するやり方もあれば、エキスパンド・ブック式に個人が低予算で色々面白いアイデアを試みていく道もあるということだ。次にそういった制作者の立場からエキスパンド・ブックを見てみよう。実は一番面白い部分はそこにある。なぜなら、エキスパンド・ブックの特徴は、それを誰でも作ることができる点にあるからだ。

ツールキット

 『エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版』は、1993年7月に発売された。これもブック同様、起動させるにはHyperCardが必要になる。このツールを使うと、プログラミングや本の編集経験のない人でもブックを自作することができる。

 ツールキットの基本的な機能は、テキストの自動割り付け、レイアウト調整、注釈の付加の3点にある。まず、ワープロ原稿を用意する。MAC以外のワープロで作成されたものでも、DOSのテキストファイルに変換できれば読み取り可能である。ブックの版型を選び文字の書体やサイズを決めてからテキストファイルを読み込んでやると、字数を数えページに割り付けていく作業が自動的に行なわれ、最後に目次も作成される。数百ページの電子本が1〜2時間で出来上がってしまう。そのあと、レイアウト調整機能を使って、カラーの扉画や挿画をはめ込むこともできる。語句にマルチメディアの注釈を付加する作業もマウス操作だけでワンタッチでできてしまう。作業が終わったら、メニューから「出版」コマンドを選択する。ブックからツールが切り離され、改変や再編集が不可能な状態になる。前項で紹介した樣々なタイトルも、みなこのツールキットで作成されている。

 こうして完成したエキスパンド・ブックをフロッピーディスクにコピーすれば、たった1冊の本が100円足らずの製造費で出版できることになる。コンピュータ通信での配付を考えるなら、一切の製造費は不要となるかもしれない。この経済性は電子出版が明らかに書籍に優越する唯一の点である。売れない本、出版してもらえない本の著者にとって、既成の出版資本に頼らず低リスクで自分の本を製造できるメリットは大きい。エキスパンド・ブックは、何よりもまず自費出版のためのメディアなのである。

 もちろん、ビデオやサウンドなど注釈素材のデータ量が巨大な場合には、フロッピーではなくCD-ROMに焼くことになる。いずれにせよ、ツールキットで作成したブックは、ユーザーが自由にフリーウェアとしてパソコン通信に載せたり、複製を作って無償配布したりすることができる。ただし、商業出版や宣伝販促、マニュアルなどビジネス目的に利用する場合は、1冊あたり18円あるいは設定価格の1%をロイヤリティとしてボイジャー・ジャパンに支払う必要が生じる。

次世代エキスパンド・ブック

 日本語版エキスパンド・ブックのフォーマットを発表して以来この半年間、出版の専門家や作家・読者の方々から樣々の批判や評価をいただいてきた。特に批判が強かったのは、日本語の文学作品を扱いながら、縦書きができないこと、ルビが簡単に振れないことである。また、文字のクオリティが貧弱であることも再三指摘された。ページめくりの自由自在さの点でも、まだまだ本には及びつかない。これらの問題を踏まえ、現在ボイジャー・ジャパンでは次世代バージョンの制作に取り掛かっている。プロトタイプを見れば分かるが、縦書きにして文字のクオリティを上げるだけで、その可読性は飛躍的に向上するようだ。本と比較されることによって、エキスパンド・ブックは技術開発上の指針を与えられ、そのデザインも鍛えられていく。本のメタファーを追及していった結果、やがて電子出版はいつの間にか「本」から離れ、独自のメディアとして発展し始めることになるだろう。だが、まだそのときではない。とりあえず、次世代バージョンによるタイトルが94年春には発売される。そのツールキットの発売は、それからさらに半年後のことになるだろう。

(北村礼明、93年12月、雑誌用原稿より)

(編者注:上記の「次世代バージョン」とは、94年に東芝EMIから発売されたエキスパンドブック作品『THE COMPLETE OZU』、ボイジャー制作発売の『寺山修司/書を捨てよ、町に出よう』などに使用されたフォーマットのこと。HyperCardをベースにしたものだが、縦書きやアンチエイリアス文字表示の機能を実現したボイジャー・ジャパン独自開発路線の最初のバージョンである。95年春に発売される『エキスパンドブック・ツールキット II』へと至る過渡的なフォーマットとしてボイジャーのインハウスで活用されたが、ツールとして一般市販はされなかった。)

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エキスパンドブック横丁開始

「エキスパンド・ブック・ツールキット」ユーザー各位

 拝啓
 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 2月のマックワールド「ボイジャー/エキスパンド・ブック横丁」においては、人気・売上ともに予想以上の成功を収めることが出来ましたことをまずご報告いたします。これも皆様のご支援の賜物と思い、あつく御礼申し上げます。

 就中、ツールキット・ユーザーの方々による個人出版 40 タイトルのデモ即売コーナーは、一般来場者・出版編集者・流通関係者・マスコミなど幅広い層の強い関心を集めて、売上高も3日間で総額 100万円をこえる盛況ぶりとなりました。(2月15日付け産経新聞の掲載記事を添付いたしましたので、ご参照ください。)限られた期間内に多数力作が集まったことは一番の喜びでしたが、それに興味を持って購入してくださるマックユーザーが沢山いたことは、われらエキスパンド・ブック作家をおおいに勇気づける最大の成果であったと思います。

 さて、ここで皆様に提案がございます。今回の経験で、ブックを制作しそれを世に問いたい作家・版元の方々が相当数いらっしゃること、そして、そのブックを買って読んでみたいと思うユーザーの方々も少なくないことが分かりました。となると、いま求められているものは、両者の出会いをコンスタントに仲立ちしてくれる「場所」であると思います。現在、ハイパークラフトの安斎社長から下記のようなご提案をいただいております。作家・版元・読者すべてのメリットとなりうる提案なので、弊社としては実験的な試みではありますが出来るかぎり積極的にサポートしていきたいと考えております。ご検討のうえ、何卒ご参加ご協力いただきたくお願い申し上げます。

敬具
1994.3.4.
ボイジャー・ジャパン一同




ハイパークラフト 「エキスパンド・ブック横丁」コーナー開設のご案内

概要:マックワールドでの「エキスパンド・ブック横丁」個人出版デモ販売コーナーの内容、イメージを出来るかぎりそっくりそのまま店内に常設しようというものです。マックワールド参加者に限らず、すべてのツールキット・ユーザーが版元としてこのコーナーに参加することができます。ハイパークラフトさんとしては、設置当初から利益を上げられるとは考えておらず、むしろショップの特色作りの一環としてこのコーナーを位置づけたいとのお考えです。ハイパークラフトは関東および関西各所にチェーン店を広げ躍進を続ける新しいタイプのソフトショップです。コーナーを設置していないショップでの注文受付、通信販売にも対応してくださるそうなので、個人出版の版元・読者にとって得難い「場」となることは間違いありません。ボイジャー・ジャパンとしては、とりあえず実施期間を1年間と限り、商品の取りまとめや売上管理、作品目録(添付見本参照)の製作配布などサポートしていきたいと考えております。

開設店:ハイパークラフト厚木店(3月25日開店予定)
    ※様子を見て渋谷店での設置も検討したいとのご提案もいただいております。

開始時期:3月25日を予定

期間:1年間(はじめての試みですので、様子を見ながら運営していきたいと思います。いまのところ仮に実施期間を1年間と限らせていただきますが、場合によっては、やむをえず期間の短縮を決定させていただくこともあるかもしれません。その点、あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。)

運営方法:商品の取りまとめは、弊社にて行ない、一括してハイパークラフトへ委託納品します。したがって、まず版元の皆様からは、弊社に商品をいったんお預けいただき、そのうちの実売分についてのみ3カ月ごとにご精算させていただきたます。まず、第1弾の作品群をまとめて3月25日までに一括納品します。以後も常時参加受付を行ないながら、文庫本のように定期的に何冊かの新刊をまとめて納品し、ラインナップの拡充を図っていきたいと思います。売り切れ商品の補充、作品目録のアップデートも適宜行ないます。

応募手順:
1)参加受付は期間中常時おこないます。
  参加ご希望の方は、まず次項「取引条件」をよくご確認ください。ご同意いただける場合にのみ、同封の「覚書」2通ともにご記入のうえ署名捺印し弊社宛にご郵送ください(署名捺印以外はコピーでもかまいません)。受取後、弊社サイドの署名捺印をして、貴方に1通をご返送いたします。もう1通は弊社保管用とします。

  ※なお、94年3月25日発売予定の第1弾作品群としてエントリーをご希望の方は、郵送分とは別に「覚書」の写しを至急弊社宛にFAXしてください。

2)「覚書」受取後、弊社より納品の段取りについてご連絡さしあげます。なお、1回の納品数は1タイトルにつき10本までとさせていただきます。

3)商品パッケージについてお困りの問題があれば、お気軽に弊社にご相談ください。
  添付別紙のとおり、汎用パッケージの斡旋販売も行なっております。

取引条件:
1)参加者は、ツールキットの正規ユーザー(ユーザー登録完了者)のみに限らせていただきます。また、販売されるタイトルの版元(出版者)は、参加者本人または実質的に本人と同等と見なしうる団体に限ります。もちろん、著者は誰であっても自由です。

2)参加希望者は、ツールキットのマニュアルに規定されている「出版契約」のほかに、別途簡単な「覚書」に署名捺印していただきます。これは、下記諸条件の相互確認のためであると同時に、参加者各位が版元としてタイトルの動作・内容・権利・倫理等一切に社会的な責任を負っていることを明文化するためのものでもあります。

3)展示スペースの都合上、1回のお取り扱い数量は原則としてタイトル毎に10本以内とします。また、初回納品時にサンプルとして弊社および販売店用に各一本ずつ商品を寄贈してください。ただし、マックワールドの個人出版デモ販売コーナー用に既にサンプルをいただいているタイトルに関しては、今回の参加のために内容やパッケージの顕著な変更を行なっていない限り、ご寄贈いただく必要はありません。

4)商品は版元から弊社宛にお送りいただき、弊社にて他の個人出版タイトルと一括して、定期的に販売店に納品します。弊社宛の送料は、各版元にてご負担願います。

5)商品の店頭販売価格は「出版契約」に記載した税抜き価格どおりとします。

6)製品には、書名、著者名、店頭販売価格(税抜き)、出版者名、を表記してください。価格表示のあとには、必ず(税抜き)と表示してください。

7)弊社から販売店への卸価格は、店頭販売価格(税込み)の70%です。また、弊社経費として店頭販売価格の5%をいただきます。したがって店頭販売価格の65%が版元の取り分となります。

8)精算は、実際に売れた本数にのみ対して行ないます。原則として年4回(6、9、12、3月末締め)弊社より各版元へ売上報告をいたします。この売上報告に基づき各版元は弊社に対して請求を行なってください(請求書は弊社にてご用意いたします)。お支払はご請求月の末日までにご指定の銀行口座に振り込みますが、振り込み手数料はご負担願います。ご請求書の到着が月末近くになった場合、お支払いが翌月扱いとなることもあります。ただし、売上高が小額の場合、振り込み手数料がお支払い額を上回ってしまうような不合理を避けるため、様子をみて個別にご相談させていただく必要もあろうかと思います。

9)各版元への追加委託依頼は、弊社より必要に応じて行ないます。

10)版元はいつでもタイトルの販売中止を弊社に要請することができますが、ご要請を受けてから、実際に弊社が店頭より商品を引き上げるまでに、最大30日間のご猶予をいただく必要があります。

11)タイトルの内容・権利処理方法・動作などに関して問題が認められた場合、弊社および販売店には、そのタイトルの頒布、販売を一方的に中止または拒否する権利があることも、あらかじめご了承ください。

12)また、タイトル数が増加して全タイトルの展示スペースが確保できなくなった場合、弊社およびハイパークラフトの判断で一部タイトルの取り扱いを中止させていただくこともあります。

13)実施期間は仮に1年間と限らせていただきますが、場合によっては、期間の延長や短縮を弊社およびハイパークラフト両社で一方的に決定させていただくこともあるかもしれません。その点、あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。期間終了後、あるいは、版元や販売サイドの判断により販売を中止する場合、店頭在庫品の返却は、30日以内に弊社から各版元へ着払いにてお送りするものとします。
以上

※なお、NIFTY SERVE の電子会議室「ボイジャー・サロン」上でエキスパンド・ブックや他のボイジャー製品に関する話題や質疑応答が繰り広げられています。一般ユーザーによるエキスパンド・ブック作品のフリーウェアやデモ版をアップできるライブラリも併設されています。エキスパンド・ブックに興味のある方、技術的な質問のある方は、是非ご利用ください。アクセスは:go SMVS1 です。

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『エキスパンドブック・ツールキット II』の発売

報道資料94年12月1日

Macintosh用の電子出版オーサリング・ツール
「エキスパンド・ブック・ツールキットII」95年1月下旬発売
新しい「エキスパンド・ブックII」フォーマットによる電子出版が可能に

 ボイジャーは、Macintosh用の電子出版オーサリング・ツール「エキスパンド・ブック・ツールキット日本語版」(バージョン1.0、93年7月発売)を大幅にバージョンアップし、来春1月下旬より新バージョン「エキスパンド・ブック・ツールキットII」を発売いたします。標準小売価格は¥45,000(税抜)で、現行のツールキットと同じです。

 「エキスパンド・ブック・ツールキットII」は、縦書きやルビ、段組み、カラーなどに対応しており、多くの新機能が盛り込まれ、操作性は格段に改善されています。ツールキットIIの発売により、ユーザーが一層高度な電子出版物を制作することが可能となり、商業出版社の本格的な電子出版への参入が加速されることが予想されます。

新しい特徴:
・アンチエイリアス文字による美しく読みやすい表示を標準化
・縦書き、ルビ、段組に対応
・カラーグラフィックスに完全対応
・テキストのレイアウトを完全自動化
・ブック起動時やページめくりでのムービーや音声の自動再生をサポート
・アプリケーション化(Power Macintoshネイティブ対応)
・Windows版対応を考慮した新しいデータ・フォーマットを採用
詳細は次ページ以降をご覧ください。
また、製品資料として、ツールキットIIの画面キャプチャー(Macintosh用PICTデータ)を用意しております。必要な方は弊社担当までご連絡ください。


1) エキスパンド・ブック・ツールキットIIの特徴

・アンチエイリアス文字による美しく読みやすい表示を標準化
文字のリアル・タイムによるアンチエイリアス処理によって、読みやすい文字表示が実現しました。今までのビットマップ・フォントによる表示と比較すると格段に読みやすくなっています。

・縦書き、ルビ、段組に対応
ツールキットIIでは、縦書き、ルビ付きといった日本語特有の特徴をもったブックの制作が可能です。また、段組みを可能にしたことにより、雑誌のイメージを踏襲したブックも作ることができ、電子出版の分野が一層広がりました。

・カラーグラフィックに完全対応
ページの色、文字の色を自由に設定できるだけでなく、バックグラウンドにカラーのグラフィックスをレイアウトすることができます。また、カラー挿絵のレイアウトも自由自在です。それぞれの作業はダイアログで設定する、あるいはパレットからドラッグするだけでとても簡単です。

・テキストのレイアウトを完全自動化
ツールキットIIでは、挿し絵の挿入や本文フィールドのエリアの変更により生じるテキストの再レイアウト作業を完全に自動化しました。挿し絵をレイアウトすれば、テキストが自動的に回り込んでいきます。数百ページのブックでも、再レイアウト作業はまたたく間です。

・アプリケーション化(Power Macintoshネイティブ対応)
ツールキットIIはPower Macネイティブモード、68Kモードの両方に対応したアプリケーションとなり、動作が速くなり操作性が向上しました。ブックを作る上でも読む上でもHyperCardは不要となりました。

・ブック起動時やページめくりでのムービーや音声の自動再生をサポート
バージョン1.0では、ブックを起動したりページをめくったりした時にQuickTimeムービーや音声を再生するには、HyperTalk によるスクリプティングが必要でした。ツールキットIIは、こういったスクリプティングは一切必要ありません。ダイアログで設定するだけで、マルチィメディア素材を使ってブックを演出していくことができます。

・Windows版対応を考慮した新しいデータ・フォーマットを採用
HyperCard をベースにしたツールから、オリジナルのアプリケーション化したことにより、Windows へのブックの移植が実現できるようになります。
Windows 版のブックビューアーの発売は未定です。

・従来の特徴であるマルチメディア注釈や語句検索などの機能はそのまま継承
1ページずつめくって読んでいくという紙の「本」の体裁を模倣した馴染みやすいインターフェース、そして、その体裁の裏に、コンピュータならではの機能を付加し、多様な検索、マーキング機能、テキストとマルチメディア素材(QuickTimeムービー、サウンド、グラフィックスなど)とのリンクを実現した従来の特徴はそのまま継承されています。
*以上の仕様は予告なく変更する場合があります。

2) 有償バージョンアップ・サービスについて:

「日本語版エキスパンド・ブック・ツールキット」(バージョン1.0)の正規登録ユーザーに対して、7,000円(税抜)でアップグレード・サービスをいたします。この代金には送料が含まれています。正規登録ユーザーに対して、年内にバージョンアップ申し込み書類一式が郵送されます。

アップグレード代金:7,000円(税抜)
代金支払い方法:弊社指定口座に振り込み(専用振り込み用紙あり)
商品発送開始日:95年1月下旬の発売日に準じる

3) 商品仕様

商品名:「エキスパンド・ブック・ツールキットII」
標準小売価格:¥45,000(税抜)
内容:・日本語マニュアル(チュートリアル含む)
   ・2HDフロッピーディスク2枚
   ・CD-ROM1枚
必要なシステム:
   ・Macintosh(68KおよびPowerMacintosh)
   ・ハードディスクドライブ
   ・漢字Talk 7.1 以上
   *アプリケーション・メモリ使用サイズは作成するブックによって異なります。
   *HyperCard は不要となります。
商品番号:VJ006
     ISBNコード ISBN4-938765-06-3
     JANコード 49 49821 00006 5

(編者注:この「エキスパンド・ブック・ツールキットII」は、ボイジャー・ジャパンの祝田久を中心に独自開発された日本オリジナルのアプリケーションです。制作進行は予定を大幅に遅れ、実際に出荷が開始されたのは95年5月末でした。95年12月下旬にはMac & Win ハイブリッド対応のversion 1.5が発売される予定です。)

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掲載日:1995.11.1